プロが教える!治験のお金の仕組みについて徹底解説!〜第T相編〜

治験,対象,バイト

治験のお金の仕組みって知っていますか?

「治験のお金」と聞いてみなさんはどのようなことを想像しますか?

 

”病院に何泊かして治験に参加したら数十万貰えた!”というような美味しそうに見えて怪しそうなお金を想像しますか?

 

実は治験の業界では、GCPという厚生省(現厚生労働省)が出した省令をもとに行われていますが、これが1997年に設定されたもので法的な整備が進んだのも比較的最近のお話になります。

 

そのため、治験についてはあまり世間には認知が進んでいないのが現状で、治験のお金の仕組みについても同様にあまり世間には知られていません。

 

そこで、本記事では治験に関連したお金の仕組みについて、実際に治験の業界で働いている筆者がご紹介をしていきたいと思います。

 

今回は、治験の中でも健常人男性の方が対象の第T相の治験をメインにお話をしていきます。

 

開発相

調査内容

対象

第T相

安全性・薬物動態

健常成人

第U相

用法・用量

症状が軽度な患者

第V相

有効性・安全性

症状が軽度〜重度の患者

 

疾患を持っている方が対象の第U相や第V相の治験の場合は仕組みが少々違うので、別の記事で詳細にご紹介をしています。

 

 

高額報酬って怪しくない…?

治験と言えば、高額な報酬が貰えると認識している方も多いかと思います。

 

まず、治験に参加して貰えるお金は報酬ではなく負担軽減費というのが正しい呼び方になります。

 

この負担軽減費というのは、協力費と呼ばれることもありますが、大体似たような意味で使われているのが現状です。

 

さて、みなさんは治験の募集に以下のように書かれていたらどう思いますか?

 

・健康な男性募集
・治験期間は4泊5日
・負担軽減費は10万円

 

「5日で10万円!?」と思われる方も多いでしょう。

 

宿泊を伴った治験の場合、入院中に数回検査があるくらいで残りの時間はフリーで寝ててもゲームをしててもスマホをいじっていても自由。

 

やることも全然無くてかなり楽だという話も聞いたことがあるのではないでしょうか。

 

そして、「そんな美味い話無いだろ…何か裏があるだろ…」そう感じる方も結構多いかと思います。

 

結論からお話すると…もちろん裏があります!

 

高額な負担軽減費の理由

先ほど少しご紹介した「4泊5日で10万円」のような治験は、健常人男性を対象にした第T相の治験がほとんどです。

 

さて、本題の高額な負担軽減費の理由についてご紹介をしていきます。

 

そもそも負担軽減費ってなに…?

負担軽減費とは、その字のごとく、治験に参加する方の負担を軽減することを目的にして支払われるお金のことです。

 

もっと噛み砕いてお話すると、治験に参加する為に必要になった交通費や食事代などの負担のことです。

 

負担軽減費…高すぎない?

皆さんは思うはずです、「交通費とか食事代で数十万とか多すぎでしょ」と。

 

その通りです。

 

負担軽減費の定義は、上でご紹介した通り、交通費や食事代を考慮してのものですが、治験に参加するうえで、他にも負担になることがあります。

 

治験に参加することで負担の例を挙げてみると…

 

・喫煙や飲酒が制限される
・起床時間、就寝時間が決まっている
・集団生活をしなければならない
・食事も決められたもの以外不可
・注射が多い可能性が高い
・運動が制限される

 

健常人の方は普段生活しているうえではこのような負担がありませんが、治験に参加することによってこれらの負担を負うことになります。

 

この治験に参加することによって生じる負担に対してのお金を負担軽減費(協力費)として支払うため、「4泊5日で10万円」というような募集もあります。

 

世間では、「何か危ないことをやらされるからその対価として高額の謝礼を出す」と思われていますが、実際には治験に参加することで生じる負担に対して支払われています。

 

これが、高額な負担軽減費(協力費)の裏になります。

 

人によっては、喫煙が出来ないことがもの凄く負担であったり、何回も注射されることがもの凄く負担だったりするかと思います。

 

「ただ寝ていてゴロゴロしているだけで数十万円貰える」という訳ではないことを知っておいて下さい。

 

そして、この負担を軽減するための額に関しては個人によって高いか安いかの基準は違うかと思うので、健常人男性対象の治験に参加される方は上に記載したような観点で考えてみると良いかと思います。

 

治験参加時に負担しなければいけない費用

治験に参加するために負担しなければいけない費用としては以下のようなものがあります。

 

・治験をやる病院、クリニックまでの交通費
・治験期間中に処方してもらった薬代など

 

治験薬のお金や治験のための検査のお金については、治験参加者が支払う必要は一切ありませんが、治験実施施設までの交通費については、負担軽減費として支払われるため、別途「交通費」としては支給されません。

 

また、治験期間中に治験参加者からの希望で花粉症の薬を処方してもらったりした場合も費用は自己負担になる場合がほとんどです。

 

治験参加中に特に何もなければ費用負担は発生しない場合がほとんどなので、お金を準備する必要はありません。

 

治験で副作用が出た場合の費用

治験に参加する場合は、副作用についても気になるところです。

 

もし治験に参加して、副作用が生じて治療費が必要になった場合、しっかりと費用は製薬会社に負担してもらえるのかそのあたりをご紹介していきます。

 

治験で健康被害を生じたい場合には、医薬品企業法務研究会(医法研)のガイドラインに沿って保障がされます。

 

治験で生じた健康被害に対しての保障は、治験参加者の方が製薬会社に申請することになりますが、詳細については治験の参加時に渡される「保障の概要」という資料に記載されています。

 

この資料は、治験参加時に貰う同意説明文書という資料に付属して貰える場合が多いですが、もし貰っていない場合は、治験コーディネーター(または担当医師)にお話しをすれば貰うことが出来ます。(先生よりコーディネーターにお話しした方が伝わります)

 

保障を受けるにも実は注意すべきことがあるので記載をしておきます。

 

・治験薬との因果関係が無い症状については保障の対象外
・治験に参加しなくても生じたと考えられる症状は保障の対象外
・被験者に過失がある場合は保障の対象外または減額となる

 

治験薬との因果関係など少々難しい言葉が出てきていますが、これは治験参加者のみなさんが判断しなくても良くて、医師や製薬会社が判断をするものになります。

 

例えば、治験参加中に風邪をひいてしまった場合、医師がその風邪が治験薬の副作用によって生じたのかただの季節性の風邪をひいただけなのか(治験に参加していなくても風邪をひいていたか)を判断し、治験薬が原因ではないと判断されると保障の対象外となるということです。

 

「それじゃあ、治験薬と関係無しとかいって良いように勝手に解釈されるだろう!」と思いますが、医師にとってはここで治験薬と関係あるにも関わらず関係無しと答えるメリットが無いため、良いように解釈をするということも考えにくいのです。

 

それでも、その判定に不服がある場合は、民事訴訟(賠償)となります。

 

実際に私も色々な治験に関わってきましたが、補償となるような事案が起きることもかなり稀で賠償については見たことがありません。

 

保障の内容について簡単に見ていきましょう。

 

医療費について

健康人対象の第T相の治験では、健康被害が生じて保障の対象となる場合、医療費の全額を製薬会社が負担します。

 

医療手当について

医療手当は、健康被害のために通院をしたときの交通費や入院をした際の雑費などに対して支払われる手当になります。

 

医療手当については、医薬品副作用被害救済制度という制度の給付額に準じて設定されるので、具体的な金額をご紹介しておきます。

 

通院のみの場合
(入院相当程度の通院治療を受けた場合)

1ヵ月のうち3日以上

月額 36,400円

1ヵ月のうち3日未満

月額 34,400円

入院の場合

1ヵ月のうち8日以上

月額 36,400円

1ヵ月のうち8日未満

月額 34,400円

入院と通院がある場合

月額 36,400円

PMDAの「医薬品副作用被害救済制度」参照

 

補償金について

健康人を対象とした治験の場合、予防接種健康被害救済制度及び労災保険制度の給付額を参考にして製薬会社が設定します。
健康人対象治験における障害補償金及び遺族補償金の目安

 

「治験活性化に資するG C P の運用等に関する研究」 分担研究「医師主導治験等の効率化に関する研究」 補足資料 より抜粋

 

まとめ

治験といえば、世間でも闇バイトなどのイメージがあり、ブラックな感じで考えられていることもありますが、副作用発生時の保障の制度などもしっかりと決まっています。

 

万が一、治験に参加して健康被害を生じてしまった場合には、補償の相談をコーディネータを通してしてみるのも良いかと思います。

 

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